前回、たくさんのリラクセーション法を紹介しました。 今までにしたことのなかった方法を、試してみた方もいるでしょうか。 今回は緊張への対策について、少し違う視点からお伝えします。

大切な場面で自分が緊張していることに気づくのは、どのようなことがきっかけでしょうか。

・レースの前日になかなか寝付けない。 ・スタートが近づくにつれて、 胸がドキドキしてくる。 ・普段はなんとも思わないことが気になる。 ・コースや他の選手を目の前にした途端、急に自信がなくなってくる。

こういった心身のサインから、「自分は緊張しているんだな」と気づくことはないでしょうか? 身体の感覚や気分は、自分のメンタル状態を把握するための大切な手がかりです。 これによって自分が緊張していることに気づければ、すぐにリラクセーションを行って、メンタルのコンディションを整えることができます。

しかし、ここに1つ、落とし穴があるのです。 それは、「自分は緊張しているのだ」ということを意識しすぎて、 「このままでは良くない」 「これでは実力を発揮できないのでは」 「こんなに緊張するということは、今回は調子が悪いのかもしれない」 などと考えてしまうこと。 このように自分が緊張していることを「良くない兆候」として解釈すると、ますます不安や焦りが生じてしまうのです。

では、どうしたら良いのでしょうか? 答えは、「緊張している」という事実をあまりネガティブにとらえないことです。 「レース前にドキドキするのは当たり前」 「このくらいの緊張感は必要」 「大切なレースなのだから、結果を出せるかどうか心配になるのは当然」 「レースに向けて、身体が準備を始めている証拠だ」 というように、自分に言い聞かせてみましょう。 自分が緊張していることに気づいても、それに対して深い意味づけはせず、着替えやウォーミングアップといった他の準備と同じように、ただ自分に合うリラクセーションを行えば良いのです。 また、気分転換をしたり、他のことを考えたりして、自分の心身の状態へ注意が向きすぎないような工夫も有効 でしょう。 これまでにご紹介したリラクセーション法とともに、試してみてくださいね!

kani_prof_face 【学歴・資格】
2009年 学習院大学 文学部 心理学科 卒業
2011年 筑波大学大学院 博士前期課程修了(心理学修士)
2012年 臨床心理士
静岡産業大学にて講師を勤め、 現在はスクールカウンセラーや市民講座など受け持つ。
スポーツの現場では、メンタルトレーナーとして講習会や個別相談により、プロアスリートや大学生アスリートをサポート。
【トライアスロン】
2006年 日本学生選手権 準優勝
2010年 日本学生選手権 4位入賞
2011年、2013年 日本選手権出場