今回のコラムでは、「効率的にパフォーマンスを引き出すためのポイントとピーキング」について、私自身がレースに向けて実施してきたトレーニング方法のポイントを基に話していきたいと思います。
私の場合、腰痛からの復帰とやや特殊なケースではありましたが、トレーニングをする上で押さえておかなければならないポイントは、どのようなレベルの選手も共通です。
特に怪我からの復帰や長いオフなど長期間休養をしていた場合では、細心の注意を払ってトレーニングに取り組む必要があります。
まず押さえておきたいことは、トライアスロンのような持久系スポーツでは、「自分の中にどれだけトレーニング効果を蓄積できるか」がポイントになってきます。小さなことをコツコツと積み上げていくことがパフォーマンスに直結するのです。
普段から私がトレーニングをする上で心がけていることのひとつでもあります。今回の復帰に向けてもこのポイントを念頭に置いて、トレーニング計画を組み立てていきました。
本格的にトレーニングを再開した3月時点では全く動けなかった身体も、6月の関東選手権ではひとつの結果につながる変化を生み出すことができました。これも、コツコツとトレーニングを蓄積できた結果だと考えます。
では、どのようなことを意識してレースに向けてトレーニングに取り組んできたのかをひとつずつお話ししていきましょう。
現状を把握する
まず、一番初めに行った(行ってほしいこと)は、現在の自分の身体がどれだけ動けるか確認することです(現状を把握すること)。
多くの人は、目標をベースにトレーニングをスタートしてしまうのではないでしょうか。もちろん、目標がなければトレーニングはできません。
しかし、現在のパフォーマンスからかけ離れた高すぎる目標や実現の可能性が低いような目標を掲げてしまっては、身体のキャパシティーを超えオーバーワークとなり、風邪や怪我などのリスクを高めることになります。
また、できること・できないことへのギャップに、モチベーションが上がらなくなってしまう恐れも大いにあります。
自分の身体にトレーニング効果を効率的に蓄積するためには、現状のパフォーマスと目標となるパフォーマスとのギャップをしっかりと埋めることができるか把握することが大切です。
もちろん、長期間をかけて高い目標に向かってトレーニングをするのであれば、現状とのギャップが多少あっても問題ありません。しかし、比較的短期間しか準備をする時間がない場合は、現状から目標を設定することをオススメします。
今の自分にできること・できないことをしっかりと把握し、できることから少しずつ小さな挑戦を積み重ねることで、大きな結果に結びつきます。
柳井 賢太(やない けんた) 生年月日:1986年6月16日 出身地:神奈川県 略歴:アヤトTS ~ SUNNY FISH 主な戦歴 ・2012年 第18回日本トライアスロン選手権(東京港) 38位 ・2014年 第20回日本トライアスロン選手権(東京港) 20位 |