BTABottleTitle

去年に、投稿したハイドレーション戦争の記事が、1万以上を超える、多くの観覧数を呼び、その情報の必要性がわかってきた。今回は、ハイドレーションシステム第2弾として、フロント式ハイドレーションシステム(通称BTAシステム-Between-The Arms)を取り上げる。ここ2年間で、大きな人気と使用率を獲得し、続々と類似した新商品や、それに付随したオプションパーツ等が徐々に増えてきている。

当初、BTAシステムは、あるプロ選手が、ボトルケージをエアロ(DH)バーの間に、無理矢理にタイラップ(結束タイバンド)で、直付けしたことで、反響を呼び、このBTAハイドレーションマーケットへの大きな発展へと繋がった。そして、もう一つの理由として、エアロ(空力)効果向上が、大きな要因にもなっているだろう。バイク業界では、フレーム作りの行程で、このエアロが、重要な課題であり、年々大きく取り上げられるワードになっていく内に、実際レースや練習で、必要不可欠なハイドレーション(ボトルケージ等)に着目された。ハイドレーションを、バイクへ装着した際、エアロ効果が、どう変化するかが、再度見直されるようになって行った結果、バイクフレーム自体にも、その要素が組み込まれたフレームが開発された。その例として、多くのトライアスロンライダーを獲得したSpecialized Shivの内蔵型ハイドレーションシステムや、待望のニューマシンとして発表されたCervelo P5 Sixの専用3T Aduroエアロハンドルや、Trekの2014年Speed Conceptにも付いているBTA台座が、その重要性を知る上で、わかりやすいだろう。

CerveloP5FrontHydration

そして、Specialized Shivを開発したエアロダイナミストMark Cote(マーク・コーテ)も、独自の研究結果から、何もセットアップされていない場合よりも、BTAシステムを取り入れた際のエアロ効果の方が、正面からの風の抵抗を、スムーズに流す効果があると結論づけ証明されている。

SpecializedShivMark

だが、このエアロ効果を、実際体で感じるのは難しい点であり、その他のメリットは、このBTAシステムにあるのだろうか。

フレーム内部やサドル後ろに付いているボトルケージやハイドレーションシステムから、ボトルを取るよりか、はるかに取り易いことが実証できるのが一つだ。だが、 その反面、ボトルケージの形状や種類によって、取り易さが多少変わってくるサイドエフェクトもある。固すぎて取りにくさがでたり、柔らかすぎて飛び出てしまうという問題もあるので、ボトルケージ選びは、購入前に、実際にボトルをさして試してみるのが一番だ。その問題点を解決しようと、現在のマーケットでは、大手ハイドレーションメーカーXlabが、Torpedoボトルケージと言うフロント専用のボトルケージとしての展開もしている。そして、今年は、新商品として、Zippから、フロント専用ボトルケージZipp SL Speedを、カーボンとアルミの2種類で販売を予定しているので注目がよせられている。

ZippSLSpeedBottleCage

2つ目に上げられるのが、特に、小さいフレームサイズ(48センチ)以下になると、フレーム内側の三角形が小さくなるために、500mlのボトルは、ギリギリ入るが、ボトルの頭が、フレーム内部に当たって取りにくかったり、更に大きい750mlのボトルは、フレーム側のボトルケージに、はまらないという問題も過去に起こっている。そういった場合、横取りのボトルケージもつけることも、一つの解決策としてされているが、さらに取り易さも向上させる面では、BTAシステムを、取リ入れることが、より良い方法だろう。

そして、レースや練習中の数時間の間に、どれだけ水分補給を摂取したのか、その目安を取る方法として、BTAシステムだと、ボトル(透明度がある柄)に残っている内容量を目視で確認できる面で、補給の効率さを向上させるためのテクニックになるだろう。それ以外にも、レース時になると、補給をすることを忘れがちになってしまうことが多い場合は、目の前にボトルがあることで、心理的にも補給の必要性を思い出させてくれる。特に大規模なロングディスタンスレースになると、エイドステーションで、新しい補給ボトルを支給してくれるケースが多く、BTAシステムを使用しているプロ選手等は、バイクで所持している補給ボトルをなるべく少なくするためにも、飲み終わったボトルは、エイドステーションで捨てて、すぐに新しいボトルを受け取り交換することも一つのレーステクニックでもある。

ここからは、BTAシステムにこだわっている大手ブランド別に、これから主流になるだろうと思われる2013年度に発表された新商品を中心に、現在も人気のある商品も含めおすすめを紹介していこう。

Speedfil(スピードフィル)

Speedfil A2

SpeedfilA2Pic

このSpeedfilが、最初に画期的なBTAボトルとして発表したSpeedfil A2を出したのがきかっけで、BTAハイドレーションマーケットが盛り上げ役になっていった。いままで主流であった、ヘッドチューブと並びに、縦方向のボトル構造をしていた、ジェットストリームやProfile Designのエアロドリンクシステムとは違い、エアロ効果を追求した結果、ボトルをエアロバーに沿って横方向につけることが更に良いとされた。尚かつ補充と飲み口のストローホースが付いていたタイプのドリンクボトルであり、発売当初は、そのユニークな構造が、大人気を呼び、すぐに補充口から水分を入れることができる上に、スライド式の漏れ防止カバーが付いていることから、水分が踊り漏れることは100%ないと唄っている。

そして、前方確認しながらも、柔らかいストローホースを、そのまま手で口まで持っていき飲めることが、Profile Designのエアロドリンクシステムの様に、固定されたストローに、口を近づける際に、頭を下げて飲まないといけない面では、安全性や快適さが増すだろう。さらに、ドリンクボトル頭のパーツを細かく分解できる点では、使用後、奇麗に洗い易い点や、主に出回っているスペシャライズド規格のドリンクボトルであれば、好きな柄のボトルを装着できることが大きなメリットでもある。

しかし、デメリットとして、飲み口のストローホースとボトルのつなぎ目部分に、漏れ防止のパッキンがあるにも関わらず、多少の水分漏れが起こってしまうことがる。そして、ストローホースが、直立した形をしており、そのままで乗っていると、勝手にホース自体が暴れてしまうので、同梱されているベロクロストラップや、もしくは輪ゴムで、ストローホースを押さえなければいけない。手間がかかる上に、固定力に問題があり、乗ってる最中に段差で、ホースが外れてしまうこともあった。そこで、今から紹介する新商品Speedfil Z4+が、このストロー固定力の解決策となる。

Speedfil Z4(+)

SpeedfilZ4Pic今年、発表された新商品であるZ4は、フロントハイドレーション専用のボトルケージとして開発された。このボトルケージの大きな特徴としては、Garmin専用のサイクルメーターマウントが装着でき、そして、Z4+(プラス)の方には、A2のストローをしっかりと固定できる台座が付け加えられアップグレードが見られる。

現在主流になりつつある、Garminのサイクルメーターを、エアロバー付近に取り付けたい場合に、ボトルが邪魔になり、見にくさが出てしまうことがあった。そこで、Z4のボトルケージには、トップ部分に、Garmin台座をクリップ式で、取り付けられる様な配慮がされており、ボトルに邪魔されずに、メーターを確認できる様になった。だが、このタイプのデメリットは、Garmin以外の他社製品サイクルメーターに対応していないのが難点でもある。

このボトルケージ自体の取り付けは、ホームセンターでも手に入る対ラップで4点を固定し取り付けるために、無駄な工具を必要とせずに、誰でも簡単につけることが可能なボトルケージである。だが、固定する位置は、決まってしまうので、エアロバーの種類によっては、エアロポジションを取った際に、腕にボトルが当たって気になるという場合は、いまから紹介する、専用のボトルケージマウントが1つの解決策になっていくだろう。

Speedfil A2 Stem Mount

SpeedfilA2StemMountPic

従来あるBTAシステムを、使用する上で、好みのボトルケージを取り付け、その位置を調整できる様になった台座である。いままでのBTAボトルケージ台座と異なる点は、ステムのトップキャップを使用しているバイクへ、そのままダイレクトに装着するタイプの台座で、従来のタイラップで留めるの際、ボトルを取り出す時に、安定感が物足りなかったり、もう少し手前の方にボトルの位置が欲しい場合に役に立つ台座だ。

エアロバーの幅やパッドの位置によっては、ボトルケージをタイラップで直づけするタイプでは、決められた位置でしか固定できずにいた。そして、エアロバー付近に、BTAシステムの台座を設置すると、エアロポジションを取っている時に、腕の邪魔になったり、もっと見やすい位置に、サイクルメーターを設置できない点があった。そこで、この新しいマウントは、台座自体の位置を、バッド後方のステム上に取り付けることができ、そこから更に、前後位置や上下位置を調整できる。そして、この台座を使うことで、サイクルメーターを、エアロバー付近に、設置したい場合は、前方確認もし易く、とても役に立つだろう。

Nathan(ネイサン)

AP Pro

NathanAPProPhoto

Ironman Hawaii世界選手権に出場する常連のプロ選手であるアメリカ代表Andy Potts(アンディ・ポッツ)と共同開発した、Nathan AP(Andy Potts) Proが、去年の2012年Ironman世界選手権にて話題になった。コンセプトとしては、エアロバーに腕を載せたときに、邪魔になりにくく、ボトル間にしっかり腕がはまる様なユニークなボトルの形状をしていることや、漏れにくい様に、逆流防止の弁が付いている補給口に、後方に付いている直立したストローを、オレンジのストロー台座部分で、好きな角度や位置に曲げて固定できる。デザインにこだわってる上に、従来起こっていた漏れ防止の対策をしっかり配慮されている。これには、専用の取り付け台座がついており、エアロバーの幅によって、しっかり調整できることや、クリップ式台座なので、主流の22.2パイのエアロバーだったら、簡単に取り付けができる様だ。今年のIronman世界選手権にて、この商品発表があるので、詳しいその実態と検証結果を、再度紹介したいと思う。

Profile Design(プロファイル・デザイン)

Aero HC Sysytem

ProfileDesignAeroHCBottle

2013年の春頃に発売が開始され、いままで愛されてきたエアロドリンクシステム以来の、新しいBTA専用ドリンクシステムの発表となった。プロトタイプとして、去年のIronman世界選手権にて、8位入賞した、アメリカ代表Timothy O’Donnellが、密かに使っていたことで、大きく注目を浴びた。一番の特徴としては、いままでのエアロドリンクシステムでの開発経験を元に、やはり漏れにくさにこだわっており、いままでの様な逆流防止弁がついただけのオープンな補充口ではなく、補充が必要な際に、簡単に開閉が可能で、しっかりとしてカバーをできる構造を取り入れている。

ProfileDesignAeroHCRefilCover

そして、今までは、エアロバーの間に、サイクルメーターの台座を設置するために、多くのユーザーが使用する、橋台座の役目をしていたProfile DesignUCMシステムのアイデアを取り入れた、このAero HC System専用の台座が付け加えられたのが、素晴らしいアイデアだ。しっかりとサイクルメーターを取り付けるスペースを作るために、ボトルケージ台座の後ろ側に装着できるように、橋が立っている。パーツも最低限のパーツで組み合わせており、頭部分の口を空けられるので、ボトルを洗う時には、かなり洗い易いデザインになっている。現在国内では、ボトルケージ台座のみの販売は開始しているが、Aero HCエアロボトルとの販売は、未定だ。

X-lab

Torpedo System 100/400

XlabTorpedoSystemRedPic

いままでは、Torpedo台座やTorpedoボトルケージとして、BTAシステムに適したアクセサリー類を展開してきたXlabだったが、今年から新しく開発したBTA専用エアロドリンクシステムとして、Torpedo System発表した。いままでBTA専用のボトルを展開していなかったが、今のBTAブームの流れに乗り、ようやく補充可能な、ストローの付いた、専用エアロボトルシステムを開発した。このTorpedo Systemは、100シリーズと400シリーズで別れており、両シリーズ共に、Red(赤)とMagenta(ピンク)で2色パターンで展開されている。この2つのシリーズは、使用されているパーツの素材やデザインが、大きな違いであり、下記の表の様にになっている。

TORPEDO SYSTEM 100 TORPEDO SYSTEM 400
ボトルケージ ナイロン素材V型ケージ TORPEDO CAGE(カーボン素材)
Torpedo Mini Mount台座 アルミニウム製TORPEDO MINI MOUNT カーボン製TORPEDO MINI MOUNT
スペーサー 丸形ブラックスペーサー エアロデザインスペーサー(Red:赤、Magenta:ピンク)
ストローバルブ口 クリアカラー Red:赤、Magenta:ピンク
重量 196g 170g

TorpedoSystemAirFlow

ボトルの形は、現在主流の空力実験ソフトCFD技術で、最良なエアロ効果が出るで流線型を採用し、ストローをしっかり固定するためのクリップ台座も上部に付いている。気になる補充口には、補充も簡単にでき、逆流防止弁がついてるカバーと、完全に漏れを遮断するカバータイプがあり、取り外し可能な2種類のフタが付いてくるのが大きな違いだ。ボトルの容量は、768mlで十分な補給に必要な量を確保でき、両シリーズ共に、上記の表の付属品と共に、サイクルメーターマウントも付いてくるのが、一番の魅力である。発売は、近日中を予定されており、こちらも今年のIronman世界選手権での、お披露目を予定しているので、検証した結果を再度報告しようと思う。

結果:

現在、多くの種類のBTAシステムが、今現在ハイドレーションマーケットで展開されている中で、過去にあったハイドレーションシステムの問題解決の糸口となる方法として、BTAシステムの人気と評判を呼んでいると思う。その影響は、ハイドレーションマーケットだけに留まらず、トライアスロンバイクを開発しているSpecializedCerveloTrek等の大手バイク会社も、ひとつの大切な要素として考えられている点から、バイクブランドだけではなく、エアロハンドルバーのメーカー達も、BTAシステムに対応する商品を出してくる可能性も秘めている。そして、今年だけでも、上記の新商品が続々と発表され、その重要性と利便性を兼ね備えた、この比較的新しいタイプのハイドレーションとして、これから更なる注目の的となっていくに違いない。

yuki_prof_o YUKI (ユーキ)
現住地:米国テキサス州
略歴:
2008年:米国在住中に、海外トライアスロンレースやトライアスロンマーケットの面白さに夢中になる。
2010年:トライアスロンショップ「メイストーム」でメカニックやストアマネージメントを学び始める。
2012年:日本初世界のトライアスロン情報を伝えるサイト「TriWorldJapan.com」を立ち上げる。
2013年:トライアスロンスクール「サニーフィッシュ」で、バイクとランのアシスタントコーチ担当。
2015年:トライアスロン雑誌「ルミナ」にて毎月記事を掲載し始める。現在、サニーフィッシュ新規事業部所属し、サニステコラムニストとして色々な情報を発信中。