みなさんは「メンタルトレーニング」と聞いて、何を思い浮かべますか? リラクセーション、ポジティブ思考、イメージトレーニング、瞑想、座禅、験担ぎ(げんかつぎ)―― やり方はさまざまですが、メンタルトレーニングの最大の目的は、気持ちや考え方を上手にコントロールして、「心」を良い状態に保ち、パフォーマンスの質を最大限に高めることです。 このコーナーでは、スポーツの場面で役立つメンタルスキルや、そのトレーニング方法を、少しずつご紹介していきます。

今回はまず、「どのようなメンタル状態を目指したら良いのか?」を考えてみましょう! リラックス、集中、ワクワク――答えは、1つではありません。 競技に対する目標が違えば、目指すべきメンタル状態も違ってきます。 一流の選手として、本気でトップになろうとしている人にとって、闘争心や「絶対に勝ちたい!」という強い思い(勝利意欲)は欠かせません。 「自己ベストを更新したい」というように、これまでの自分を基準に目標設定をしている人は、周囲に惑わされず、自分のペースを保つための、集中力や冷静さが大切になってきます。 「コース上の美しい景色や気持ちの良い風、地元の方々とのふれあいを楽しみたい」と思っている人なら、記録や順位を心配しながら臨むよりも、ワクワクした気持ちでスタートラインに立つ方が、レースをより満喫できるかもしれません。
同じスポーツでも、その楽しみ方は人それぞれで、その人の目標や性格に合った理想のメンタル状態というものがあるのです。

メンタルトレーニングは、トップアスリートだけのものではありません。 「せっかくたくさんの時間やエネルギーを注ぐのだから、それまでに頑張った成果は最大限に発揮したい。」
「1度しかないこのレースを、最高の気分で思い切り楽しみたい。」 そういう気持ちがあれば、どんな人にも役立つものなのです。

kani_prof_face 【学歴・資格】
2009年 学習院大学 文学部 心理学科 卒業
2011年 筑波大学大学院 博士前期課程修了(心理学修士)
2012年 臨床心理士
静岡産業大学にて講師を勤め、 現在はスクールカウンセラーや市民講座など受け持つ。
スポーツの現場では、メンタルトレーナーとして講習会や個別相談により、プロアスリートや大学生アスリートをサポート。
【トライアスロン】
2006年 日本学生選手権 準優勝
2010年 日本学生選手権 4位入賞
2011年、2013年 日本選手権出場