トライアスロンマーケットの傾向(2013年ハワイ版)
アイアンマン世界選手権では、毎年出場選手の使用機材を、アイテムごと、ブランド別に集計した統計をリリースしている。その結果を前年以前と比較することで、トライアスロンマーケットの今とこれからをトレンドを見てみる。
ランニングシューズ
( http://lavamagazine.com/2013-kona-running-shoe-count/)
トライスロンのランニングマーケットにおける二大ブランドはAsicsとSauconyで、それぞれ17%近いシェアを獲得し、根強い人気で上位を独占している。
2011年までアイアンマンオフィシャルパートナーでもあったK-Swissにおいては、多くのトッププ ロ選手をスポンサーし、世界王者も排出する等、トライアスロンブランドとしても強くアピールをしてきたが、昨年、アイアンマンとのオフィシャルパート ナー契約を解除したことや、成績を出せずに伸び悩むスポンサー選手が多かった影響などもあり、今年は10.0%から5.4%までに支持率が減少していた。
逆に使用数を伸ばしたのは、今年の世界王者Fredrik Van LierdeをスポンサーしているOn Runningで(1.7%から2.9%まで上昇)、プロトライアスロンチームTeam TBBをスポンサーしていることや、プロトライアスリートが製作に携わったランニングシューズとしての影響力も強く、来年は更なる伸びが注目できる。バイクブランド
( http://lavamagazine.com/official-2013-kona-bike-count/)
バイクマーケットは、前年度の流行が更に強く反映されていることがわかるが、近年、トライアスリートから大きな信頼を獲得しているCerveloが488台で1位を維持している。2000年代初期からトライアスロンマーケットを重視してきたCerveloだが、長年愛用するライダーを維持すると同時に、 去年発表したCervelo P5のライダーも増やし、新旧モデルの総合力でシェア率を上げていた。
また、過去3年間で著しい成功を遂げて来たのが、SpecializedとTrekで、2010年、トライアスロンバイクとしてSpecialized Shiv、Trek Speed Conceptを発表した両社だが、当時、Trekは108台、Specializedが113台と言う状況のなか、両社ともにトライアスロンバイクとしての認知度を高め、使用数を2倍以上に押し上げ、今年は2位Trek(220台)、3位Specialized(209台)と、上位を競合するまでに成長してきた。2010年からトライアスロンマーケット向けの開発始めたSpecializedとTrek同様、今年、世界王者バイクになったFeltなどを含め、来年度以降は更に興味深い。
バイクサドル
バイクサドルに関しては大きな動きがあり、いままで1位を独占していたFizikをISMが追い抜き、今年はトップに上がっている。このISMは比較的若いブランドであるが、トライアスロンバイクに特化したデザインで多くのユーザーを惹き付けた。2012年に世界王者になったJacobsとCaveもこのISMサドルがスポンサーであり、その影響が今年のサドル使用数に大きく反映された。
今年は、Fizik、Selle Italia、Bontrager、Specialized等の大手のブランドが、ISMの流れに乗りトライアスロンに特化したサドルデザインを発表し、これからさらにサドルマーケットでの競争が激化するだろう。
ヘルメット
昨年来ブームになっているエアロ効果を意識したエアロロードヘルメットだが、去年Giroが発表したAir Attackの影響でヘルメットマーケットが盛り上がり始め、エアロヘルメットの使用率は、昨年の177から418まで急上昇し、そのほとんどがAir Attackユーザーであった。
一方、今年Specializedが発表したEvadeも、発売開始からの短期で多くの人気を獲得し、昨年の使用数43から141まで急上昇した。しかし、ハワイ出場アスリートに特価販売を行うなど、トライアスロン選手人口の多い米国でのマーケティングに力を入れるRudy Projectが654個で1位を獲得。来年からはアイアンマンオフィシャルパートナーとして選ばれるなど、着実にブランド地位を確立しつつある。
ハイドレーション
今年から、ハイドレーションの集計は、フロント、リア、フレームと、3つのカテゴリーに分けられた。最近のトレンドとして、フロントハイドレーションに力を入れるブランドが多かったが、毎年1位を獲得しているProfile Designは、去年より100もの使用数を落としてしまった。
それに反し、ハイドレーションメーカーの大手であるXlabが、フロントカテゴリーでも昨年から114の使用数を増やすと同時に、リアカテゴリーでも変わらない大幅な差で1位を獲得した。今年、新たに発表したTorpedo Systemが大きい評判を呼んだことが良い結果となった。発売直後にも関わらず、この新しいハイドレーションシステムをレースで使用する選手も多く、去年の世界王者が使用するブランドとしても影響を与えた。
2014年のマーケット傾向
トライアスロンマーケットが大きくなるに連れ、新しいブランドが多く参入してきているが、ランニングシューズではカジュアルシューズで有名なSkechersも去年の0%から1.1%まで上げてきていることや、現在話題になっているパワーメーターも、半数程の選手が使用していることから、さらなる流行の兆しがある。
来年、マーケット展開として最も興味深いのはサドルとヘルメットで、続々と新しいデザインの商品がリリースされるなか、2014年の使用数にどう影響するのか大きな注目である。
YUKI (ユーキ) 現住地:米国テキサス州 略歴: 2008年:米国在住中に、海外トライアスロンレースやトライアスロンマーケットの面白さに夢中になる。 2010年:トライアスロンショップ「メイストーム」でメカニックやストアマネージメントを学び始める。 2012年:日本初世界のトライアスロン情報を伝えるサイト「TriWorldJapan.com」を立ち上げる。 2013年:トライアスロンスクール「サニーフィッシュ」で、バイクとランのアシスタントコーチ担当。 2015年:トライアスロン雑誌「ルミナ」にて毎月記事を掲載し始める。現在、サニーフィッシュ新規事業部所属し、サニステコラムニストとして色々な情報を発信中。 |
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