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前回までの記事
「効率的にパフォーマンスを引き出すためのポイントとピーキング その1」
「効率的にパフォーマンスを引き出すためのポイントとピーキング その2」

ここまで、現状のパフォーマンスをしっかりと把握し、パフォーマンスに見合った目標を立て、上手にトレーニング時間の確保をすることが大切であるとお話ししました。

今回は、実際にトレーニングを始めるときに、自分の中に効率的にトレーニング効果を蓄積していくために心得ておくべきことについてお話ししていきます。

トライアスロンのような持久系スポーツでは、小さなことをコツコツと積み上げていくことがパフォーマンスに直結します。

楽だと思う強度・量から始める

peaking6 現状のパフォーマンスと目指す目標が適正だと判断でき、トレーニング時間が確保できたら、いよいよとトレーニングの開始です。ここでポイントになってくるのが、トレーニングの量と強度は少しずつ増やしていくことです。

いきなり今まで(ベストパフォーマンスだったとき)と同じ量・同じ強度でトレーニングを始めてしまっては、またすぐに怪我の再発や風邪などにつながります。

これは、オフ明けにトレーニングを再開する人の場合でも同じことが言えるでしょう。「今まで休んでいたのだから身体はフレッシュだし、今までと同じことができるだろう」と思ってはいけません。

身体は現状の環境に合わせて慣れていくものです。きついトレーニング環境に慣れるのと同様に、休んでいれば身体も休んでいるときの身体に慣れてしまいます。

当たり前のことのように感じますが、レースまでの期間が短ければ短いほど、気持ちは焦り、いきなり量・強度とも高い練習に取り組んでしまいがちです。

私は、常々「急」という行為は避けるようにアドバイスしています。「急に練習量を増やす」「急に負荷を上げる」「急に動く」など、現状のパフォーマンスに見合った負荷でなければ、身体は対応できず、痛みや疲労などの拒否反応を出します。

効率的に無駄なくトレーニング効果を蓄積するためにも、トレーニングを継続できることがとても大切です。急にトレーニングの強度・量を増やして、怪我や風邪でトレーニングをストップしてしまっては、効率的にトレーニング効果を蓄積することはできません。

「もう少しできそうだな」「あとギアを1・2枚なら上げられるかも」など、この時期は、一回の練習で完全燃焼する必要はないと考えています。まずは、少し物足りないかなと思うところで練習を終了することがポイントになってくるでしょう。

急がば回れと言いますが、まさにその通りだと思います。人の身体は、少しずつの負荷であれば順応できるようになっています。しかし、急激な負荷には順応しきれません。上記のことを意識しながら、焦る気持ちをコントロールしてトレーニングに取り組んでみてください。


yanai_prof_face 柳井 賢太(やない けんた)
生年月日:1986年6月16日
出身地:神奈川県
略歴:アヤトTS ~ SUNNY FISH
主な戦歴
・2012年 第18回日本トライアスロン選手権(東京港) 38位
・2014年 第20回日本トライアスロン選手権(東京港) 20位