遅ればせながら佐渡大会を振り返る。

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佐渡大会には長谷川、清水が選手権に昨年同様に出場した。佐渡で行われる日本選手権は非常に特殊なレースだ。スイム、ランはハーフアイアンマンの距離に近く、バイクは105kmと15kmほど長い。時間にすれば30分かからない15kmが曲者だ。毎年、スイムからパックが形成され、70kmをすぎてバラけだし、小木坂で実力差が出てくる。小木坂をクリアしたラスト30分をしっかり走れるかがポイントなのだ。

バイクをクリアした後は佐渡の暑いランが待っている。ランでの逆転優勝も数多くあるのが佐渡だ。バイカーの大逃げが決まりやすく、潰れやすい、これが佐渡の日本選手権だ。

長谷川はスイムで遅れることなくバイク序盤は先頭パックで展開。松丸選手が単独で先頭を走る中盤まで、次のメインパックで走っていたが、小木に辿り着く前に脱落。昨年と同じく9位の成績。

元々、長谷川はバイク40kmの51.5kmをメインにトレーニングしているため、この距離が弱い。本人のメインレースは秋の国体、日本選手権なので、毎年トレーニングの一環という位置付けであることも結果が伴わない一因だろう。とはいえ、毎年、同じパターンを繰り返してはならない。まずは2-3時間続けられる閾値の底上げが必要と感じる。ペーシングには客観的指標と主観の擦り合わせが必要だが、機材面では、長谷川には我慢してもらっている。経験のない若手たちには指標となるパワー計を使って指導しているだが、長谷川には支給できていない。しかし、長谷川はベテラン選手、私が感じていることは百も承知だろう。きっと改善をして進化した姿を見せてくれるはず。

さて、一方の清水はスイムがとても弱い。昨年、400mで6分を切るくらいだったが、一年かけて5分20秒を切る程度にレベルアップした。とはいえ、メイン集団は4分30秒あたりである。これでは話にならない。しかし、佐渡でなら作戦次第で勝機はある。佐渡はバイカーが2時間50分程度、メインパックが3時間弱と予想される。メインパックはペースの上げ下げで小木以降に失速するのが定番パターンだ。作戦では、バイクは単独で走る強みを活かしてイーブンペースを刻み、3時間程度でバイクを終え、ペースの上げ下げでダメージを受けているメインパックの選手たちを得意のランで拾って6位に滑り込む作戦。3時間で105kmを走る練習はできていたので、スイムの差をランでどれだけ詰められるかが、ポイントだった。ところが、本人の反省にもあるように小木に辿り着く前に失速、ランで追い上げるどころか、完走がやっとだった。順位は昨年の14位から11位に少しだけ上がったが、予想通り、上位陣が暑さで崩れたので悔しいところだ。パワーデータを見ると、よく頑張っていたが、頑張ってしまっていた。前半のワットが想定より10%以上も高く、後半失速は目に見えていた。本人も自覚があったようだが、自分を抑えられなかったようだ。これがロングの面白さである。

今回の佐渡は灼熱のランでサバイバルレースになった。もし、練習通りペーシングし、余裕を持って3時間でバイクを終えられたら、どうだっただろうか?メインパックとはスイムの6分差。上位陣が灼熱のランで大崩れしていたところを得意のランで巻き返すことは十分可能だっただろう。チャンスレースに成り得たのだが、レースをしている本人には、まだレースを俯瞰しながら、進められる経験がない。2年前までレースをしていた私からすると、一緒に走りながら教えられないのが歯痒いものだ。

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image昨年はグリーパーレイスの販促予算で、今年はVENTUM ASIAの出展予算で、佐渡に来ることができた。他のコーチ陣と違って、レース日以外はサポートできないのは申し訳ない。しかし、今はスクール事業以外での収益を上げないと先に進めないと思っている。朝晩のスクール事業だけでなく、昼間も雇用できる事業を作り出さなければ、本当の強化に進めない。

しかし、出展はくたびれます。
選手の方が楽ちんだよ〜