第16回日本デュアスロン選手権、清水選手はエリート(U23含む)8位、総合(U19含む)9位だった。第1ランから学生やジュニア選手が勢いよく走っていく。次第に縦長の集団も大きく3つのパックに別れて推移。清水選手はスタート直後を抑え気味に入り、イーブンペースでいく作戦。後半になるにつれてポジションをあげていくことができ、狙い通り第2パックでバイクスタート。第1パックで走るようになりたいのは山々なのだが、佐渡ロング日本選手権のあとに一度アキレス腱を痛めて、ランの「強くなる」練習がしっかり積めていなかった。第1パックはトラックで15分20秒以内で走れる選手。まだまだそこで走る実力ではない。直前にトラックの5000mを走って自分の実力を知るいい機会になっていたのも、彼が冷静にレースを進められた要因かもしれない。

バイクでは、アップダウンしかないコースで序盤で第1集団が崩壊。バイクで置き去りにされた5名が第2集団に合流、そして、第2集団でもバイクの強い選手が人数を絞っていく。清水選手はどうにかぶら下がって第2集団に居続けることができた。この展開を予想して、上り坂でのVO2max3分程度から下り坂Tempo3分をイメージする練習を重ねてきた。観ている私は、バイクでは安心をしていたのだが、本人は相当きつかったようだ。練習がまだまだ足りないということだ。週1回のポイント練習では上位選手たちと同等に戦えない。このオフには週2回のバイクトレーニングができるようにキャパシティを向上してもらうつもりだ。

レースに話を戻すと、栗原選手、田中選手の逃げが決まっていたのだが、誘導ミスによって第2パックとトランジッションにて合流する展開となった。千載一遇のチャンス、第2ラン2.5kmを9名で一斉スタートだ。だが、バイクでぶら下がるだけだった清水選手に脚は残っていなかったようだ。チャンスをものにできずに9位でフィニッシュした。

今回の清水選手のレース、平松の評価は「いいレースだった」である。作戦通り遂行して、そして千載一遇の場面にまでこぎつけた。ただ、実力が足りなかった。結果が伴わなくても、意味のあるレースをしたのであれば何も小言?は言わない。意味のない、意図がわからない、何となく展開したレース、また凡ミスを犯したレースは大嫌いだ。実は先に述べた直前に出た5000mのトラックでの記録会が、まさにそのようなレースだった。このときに、清水選手には、どんな意味をもってそのレースに出たのかを詰問したが、今回はしっかりと作戦をもって臨んで遂行できた、そこを評価したいと思う。

14900537_1288534997833184_3131481877300300870_n話は変わるが、少し清水選手の置かれている「状況」を話したい。

私はトライアスロンを続けるために、デュアスロンに出続けていた。よく知らない方も多いと思うが、私は、エリート参戦当初、ジャパンカップに出れば今の清水選手同様、スイムで出遅れ完走ギリギリの実力だった。それでも、トライアスロンを続けたかった。しかし、大学陸上部出身の私にとって、スイムが速くなるには時間が必要だった。大学を卒業して、トライアスロンを続けるのには家族を含め周囲の理解が必要だ。そのため、デュアスロンに出続けた。初めての日本代表経験はデュアスロンだ。アジア選手権、世界選手権とデュアスロンで出続け、日本代表という肩書きをもって活動した。トライアスロンを続けるためには「わかり易い結果」が必要だからだ。清水選手も、トライアスロンの日本選手権で戦いたいという想いを持っている。だが、結果を出し易いのは、陸上部出身の彼にとってはデュアスロンである。だからこそ、デュアスロンを頑張ってほしい。実績は自信になるし、肩書きが選手を大きく成長させる。レベルの高いレースに出ることでき、トライアスロンではまだ経験できないレベルの高い選手とバイクを展開したり、そしてレベルの高い選手たちと交流することができる。今オフは、課題のスイムは当然だが、デュアスロンも頑張ってもらいたい。後援会の皆様方にも、こうした状況を理解していただき、叱咤いただけると本人も気合いが入るのではないかと思う。

最後に、FBなどを通じて、レース直前まで皆様の応援がとても力になっていました。本当にありがとうございます。今後とも、応援よろしくお願い申し上げます。