皆さん、こんにちは。平松弘道です。
今週末に京都で行なわれる認定記録会に柳井選手・寺澤選手が参加します。
この認定記録会を目指して早めの始動をしてきた訳ですが、この記録会がどういったもので、なぜ、この記録会を目指してきたのかをご説明したいと思います。

認定記録会とは、日本トライアスロン連合の選手強化プログラムの一環で全国から有望な選手の発掘と、選手たちのレベルをはかるために作成されました。私(平松)も、この記録会による発掘プロジェクトをシドニーオリンピック前に知って、トライアスロンの門を叩きました。記録会は、スイム400mとラン5000mを計ります。それぞれの種目に級が定められていて、タイムを切ると認定級を獲得できます。この級の基準は、それぞれの種目の日本選手権の標準記録が元になっています。私が記録会に出ていたとき(〜2006年)に比べて若干、標準タイムも上がりました。

スクリーンショット 2017-02-01 11.17.47選手たちは、この級の獲得を目指して記録会に参加します。5.5級を獲得(スイム×2+ランの合計タイムでOK)すると「強化指定選手」に認定されます。柳井、寺澤はこのレベルを目指しています。強化指定選手に認定されると、国外のコンチネンタルカップに出場することができます。コンチネンタルカップとは、ワールドカップ出場に必要なITUポイントが獲得できるレースです。

さらに上のレベルになると、ワールドカップや世界選手権シリーズ(WTS)に出場するために、5級を切らなくてはいけません。コンチネンタルカップでITUポイントを十分に獲得していてランキングが上位であっても、日本の規定で5級を切っていない選手は派遣してもらえないのです。今回の京都での記録会は、派遣基準の中でも2番目に優先順位の高い記録会になっています。(一番上位の記録会は強化認定記録会で強化選手以外は参加できないため、彼らにとっては最重要レースになります。)

また、学生においては7級を切っているとインカレ(学生の全国大会)のシード権が得られます。サニー選手規定(また別途ご説明しますね)では、この7級を持っているか、日本選手権・国体出場か、デュアスロン・ロングの強化指定選手を「選手」としています。高松選手、清水選手は、ロング・デュアスロンの強化指定によって選手規定をクリアしていますが、今年の選手規定の更新も含めて、まずは7級をクリアしてもらわないといけません。平松判断ですが、7級がギリギリ日本選手権出場レベルかなと思います。

ジャパンカップはもちろん、関東選手権や東京都選手権といった日本選手権の予選レースでも、この記録会の出場が義務付けられています。記録順にエントリーになりますので、記録が悪いと予選レースにも出られない可能性があります。

この認定級制度は、ショート以外の種目にも利用されています。
例えば、ロングディスタンスの強化指定選手の前提条件として、10級をスイム・ランともにクリアしないといけません。(スイム×2+ランの合計タイムではダメ。)アイアンマンをプロで出場するには、日本国内で強化指定選手に認定されないとライセンスがもらえませんので、たとえどんなにバイクやランが強くて大会で勝てる選手でも、スイムの400mを4分52秒(男子)で以内で泳げない選手はプロライセンスがおりません。実際に、アイアンマンのプロの泳力はとても高く、日本人が戦えない理由の一つに泳力があります。(決してバイクだけではないのです!)そのため、この制度も、年々、基準を厳しく引き上げていくと思われます。高松選手は、今年で強化指定が外れてしまいます。手術もあって大会復帰は後半戦になりそうですから、まずは前提条件の10級のスイムがクリアできるように(ランは問題ないでしょう)練習に励んでいます。

デュアスロンでは、世界選手権の派遣標準記録がラン4.5級(男子15:22)を切ることになっています。また、カーフマンでの入賞者(5%以内)でラン5級(男子15:35)を切ることでデュアスロンの強化指定を獲得することができます。清水選手の場合にも、大会で強化指定を獲得しやすくするためにも、ラン5級を、そして世界選手権に出場するためにも4.5級を目指しています。

この認定級の制度は、一般エイジの方にも便利な指標です。全国で記録会は開催されていますので、参加されてみてはいかがでしょうか?平松もひとつの目標として出場してみようかなと思います。

<参考:過去2年のデータ>

柳井賢太 スイム 4:19.1 ラン16:36.3 合計25:14.5 2015神奈川
柳井賢太 スイム 4:33.6 ラン18:47.2 合計27:54.5 2016埼玉

寺澤光介 スイム 4:12.6 ラン16:51.7 合計25:16.9 2015千葉
寺澤光介 スイム 4:14.3 ラン16:53.0 合計25:21.6 2016東京

長谷川健 スイム 4:48.6 ラン17:04.6 合計26:41.8 2015埼玉
長谷川健 スイム 4:46.3 ラン17:30.9 合計27:03.5 2016埼玉

清水孝一郎 スイム 5:31.2 ラン16:19.5 合計27:21.9 2015東京
清水孝一郎 スイム 5:17.1 ラン16:13.2 合計26:47.4 2016東京

高松辰雄 スイム 5:18.7 ラン16:58.1 合計27:35.5 2015埼玉
高松辰雄 スイム 5:03.8 ラン16:47.2 合計26:55.0 2016埼玉

こうしてみると、長谷川の記録が悪いですが、きっちり予選レースではあわせて日本選手権、国体と出場を決めていますので、すごいなと思います。冬場の時期の記録会に合わせず、シーズンインとともに調子を上げていくのはベテランの味ですね。選手それぞれ、取り組み方がありますが、長谷川(今年36歳!)以外の4名は、必ずベストを出して目標級を突破してほしいと思います。